お客様の言葉をうのみにしてはいけない
「太っているのでなるべく細くみせたい」というお客様がいらっしゃいました。
しかし、そのお客様は見るからに標準体型。
質問:お客様にどんなお声がけをしますか?
- こちらがほっそり見えると評判のパンツですよ〜!
- お客様が気にしてらっしゃるところが上手にカバーできるのはこちらの商品です!
- 黒だから引き締まって見えますよ〜!
- コレを着ると視線が縦になるので、ほっそり見えますよ〜
あなたが、痩せて見せたいというご要望にこの商品はぴったりだな。と思っても・・・
いきなり商品を薦めるのは、少し待ってください。
そして、笑顔でこの言葉を投げかけてみてください。
1つだけしつもんしてもよろしいでしょうか?
お客様は見るからに標準体型。
あなたは「お客様はそんなに太っていないのにな〜」と本心では思っています。
その本心を正直に伝える準備が「1つだけしつもんしてもよろしいですか?」という確認。
ほぼ100%のお客様が「はい」と答えてくださいます。
そこで気になるのは、「どんな質問をするか?」ですね。
これは、コーチングの手法を使います。
「I (愛)Question」〜私(愛)からのしつもん
「I (愛)」=私の正直な気持ち(そんなに太っていらっしゃらないのに・・・)
「Question」=私の正直なしつもん「何と比べてらっしゃるのですか?」
この質問を投げかけたお客様は、一瞬【え?】と戸惑われるかもしれません。
沈黙があるかも…
しかし、沈黙は怒っているわけではありませんので、安心してください。
お客様が【自分に問いかけている時間】です。
じっと優しく、待って下さい。
私がお客様に「I (愛)Question」をしたとき、お客様は、こう答えられました。
「若い頃の自分」
若くてキラキラしていた自分。
好きな服をなんでも着られた自分。
プロポーズされた自分。
自分以外ではなく「過去」の自分と今の自分を比べて・・・
自分に「太っている」という間違ったラベルを貼ってしまっている方が多くいらっしゃいます。
また、娘さんがいる場合、娘さんと自分を比べて「年老いていく」自分への不安を少しでも解消しようと「痩せて見える服」を探していらっしゃるのです。
「I (愛)Question」は、お客様の心を開く
もしも、最初に「太っているので痩せて見せたい」というお客様の言葉通りの商品を提案していたら?
「太っている」という間違った自己認識をしたまま、売る側によってさらにその認識が強化されます。
多くの女性は過去の経験や、社会的通念からの思い込みのまま、自分の外見にダメ出しをしてしまいます。そこに「気づき」を与え、ありのままの自分を「客観的に正しく認識」していただく役割がプロなのです。
お客様にありのままの自分と向き合う機会を創り出すのが「パーソナルカラー診断」や「骨格診断」「顔診断」といった「ファッションコンサルティング」です。これらの診断は全て「客観的」な視点から行われます。
自分の持って生まれた「肌の色、髪の色、艶、瞳の色」「骨格、顔のパーツの配置からのイメージ」を分析し、似合う「ファッション」として客観的な立場からプレゼンテーションします。
ファッションコンサルティングは、学べば知識として、技術として、習得は可能です。
しかし、それを使いこなし、お客様に価値を与えるためには、もっと大切なことが別にあります。
自分に「正直」であること。
正直さには不思議な魅力があります。自分に正直でない限り、人生に満足することはありません。つまり、お客様の満足も創り出すことができないのです。
自分が「正直」であれば、お客様も心を開き、ご自身のありのままを受け入れて、自ら行動してくださいます。正直であることは勇気のいることですが、正直でないまま、商品が売れても・・・本当に嬉しいでしょうか?どこかで、自分やお客様についた「嘘」が積み重なり、いつしか自分への不信感や、無価値観、虚しさに繋がってきます。
自分に「正直であること」は、ファッションのお仕事だけではなく「何かを売る人」にとって、必要なマインドです。
「正直であること」はトレーニングが必要
現在の日本のファッション業界、アパレル業界では「正直であること」は危険と隣り合わせだと思われています。お客様にこんなことを言っては失礼になるんじゃないか?こんな言い回しは気に触るのではないか?お客様や上司、家族・・・色々な人に「気を遣いすぎて」自分に正直になれず、いつしか心を病んでいく方が後を絶ちません。
自分自身に「正直」になること。心と言葉を一致させ、健康な心と健全な思考を養っていくことが、幸せな人生にはとても重要です。
ハイデザインスタイルでは、「正直であること」をトレーニングしていく自己実現コーチングプログラムをご提供しております。詳しくはこちらをご覧ください。
あなた自身を大切に。
自分に正直であり続けた先に、本当に欲しいものが待っています。